BUSINESS2026.11.01

自販機荒らしは25年で99%減った。カプセルトイだけが、まだ100円玉を店先に置いている

2026年6月、沖縄県那覇市の飲食店の店先に置かれていたカプセルトイ機が壊され、売上金が奪われたという報道がありました。前面のパネルが割られ、硬貨の投入口付近がこじ開けられていた、と伝えられています。

この件そのものについて、ここで何かを論じるつもりはありません。捜査の途中ですし、現場の事情は外から分かるものでもない。ただ、ひとつだけ動かない事実があります。その筐体の中には、現金が入っていました。

これは、特殊な事件ではありません

現金の入った無人の機械が店先に置かれていて、それが狙われる。この構図は、カプセルトイに限った話ではありませんし、今に始まった話でもありません。

同じことを、もっと大きな規模で経験した業界があります。自動販売機です。

自販機荒らしは、25年で約99%減りました

警察庁の統計には「自動販売機ねらい」という手口の分類があります。その認知件数の推移が、かなり劇的です。

1999年
約22万件(ピーク)
2015年
約1万3,000件
2024年
2,513件

出典:警察庁「刑法犯に関する統計資料」より、非侵入窃盗のうち「自動販売機ねらい」の認知件数。

ピークだった1999年の22万件から、2024年は2,513件。約99%の減少です。四半世紀かけて、この犯罪はほぼ消えました。

ここで「日本の治安が良くなったから」と結論づけたくなりますが、それは違います。同じ期間、窃盗全体がここまできれいに減ったわけではありません。消えたのは、自販機を狙う手口だけです。

減った理由は、現金を抜いたからです

自販機業界がやったことは、大きく2つです。ひとつは、決済のキャッシュレス化。交通系ICや電子マネーに対応する機械が増え、機械の中に貯まる現金そのものが減りました。もうひとつは、設置場所の見直し。人目のない屋外ロードサイドのような、無防備な場所の台数が相対的に減りました。

筐体を頑丈にする努力ももちろんありましたが、効いたのは「壊しても得るものがない状態にした」ことのほうです。鍵を強くするのではなく、金庫の中身を空にした。犯罪を取り締まるのではなく、犯罪が成立する前提を外した、と言ってもいい。

これは、業界が25年かけて出した答えです。

カプセルトイは、まだこの手を打っていません

一方で、カプセルトイはどうでしょうか。

1回300円の機械なら、100回まわれば3万円。500円の機械が数台並んでいれば、それだけの硬貨が、人のいない時間帯も店先に置かれたままになります。回収のサイクルによっては、週末をまたいで溜まり続けることもある。構造としては、1999年の自販機とほとんど同じです。

しかもカプセルトイの場合、硬貨そのものを狙われるリスクもあります。以前ニセ100円玉の記事でも書いたとおり、現金で動く機械は、偽の硬貨を入れられても気づけません。盗まれるリスクと、すり替えられるリスク。根っこは同じで、どちらも「現金で動いている」ことから来ています。

ガチャの盗難被害は、盗まれた売上だけでは終わりません

実際に壊されたとき、失うものは中の現金だけではありません。

筐体の修理費
パネルや投入口の交換。機種によっては本体ごと
修理中の売上
直るまでその場所は売場でなくなる。繁忙期なら痛い
手続きの時間
警察への届出、保険の請求、設置先への報告
設置先との関係
店先を貸してくれている相手に、迷惑をかけることになる
そのあとの不安
「また来るかもしれない」と思いながら置き続けることになる

数万円の売上を守る話に見えて、実際にはその何倍かのコストと、設置先からの信用がかかっています。

それに、現金は盗まれなくても手間を生みます。回収に行く、両替を用意する、金庫で管理する、締めて数える。台数が増えるほど、この時間は効いてきます。

正直に書いておきたいこと

キャッシュレスにすれば壊されなくなる、とは言えません。壊す側は、中に現金があるかどうかを知らずに壊すからです。器物損壊そのものを防ぐ力は、決済手段にはありません。

変わるのは、その先です。盗られるものがないので、被害が修理費だけで止まります。売上は決済事業者を経由して入っているので、失われません。何がいくら売れたかの記録も残るので、「いくら盗られたか分からない」という事態になりません。

そして、筐体に「現金は入っていません」と明示しておけば、狙う理由そのものを減らせます。自販機業界が25年かけてたどり着いたのは、結局この形でした。

ガチャを設置するときの防犯で、よく聞かれること

筐体の設置をご検討中の方から、実際にいただくことの多い質問をまとめました。

Q. 売上金は、どのくらいの頻度で回収すべきですか

立地と売れ方で変わるので一概には言えませんが、考え方はひとつです。「中に貯まっている金額」が、その場所で許容できる上限を超えないようにする。よく売れる場所ほど、回収の間隔は短くする必要があります。避けたいのは、連休や週末をまたいで貯め続けることです。無人の時間が長いほど、金額も時間も積み上がります。

Q. 防犯カメラをつければ大丈夫ですか

抑止の効果はありますし、設置先の店舗にカメラがあるかどうかは確認する価値があります。ただカメラは、壊されたあとの記録です。壊されること自体は止まりませんし、記録が残っても現金が戻ってくるとはかぎりません。カメラは「起きたあと」の備え、現金を減らすのは「起きる前」の備えで、役割が違います。

Q. 盗難に遭った場合、保険は使えますか

動産総合保険や施設賠償責任保険などで対応できる場合がありますが、補償の範囲は契約内容によって大きく異なります。筐体そのものの修理費は出ても、中の現金や休業中の売上は対象外ということもあります。設置前に、加入している保険で何がどこまで対象になるかを確認しておくことをおすすめします。

Q. キャッシュレスにすると、現金しか持たない人が買えなくなりませんか

設置する場所によります。駅前の路面店のように幅広い層が通る場所なら、現金のニーズは残ります。一方でスタジアム、ライブ会場、商業施設のイベントスペースといった場所では、すでに決済のほとんどが電子化されていて、むしろ「小銭がないから買えない」ほうが起きています。当社がこの事業を始めたきっかけも、イベント会場でガチャの前だけ小銭がなくて諦めている親子を見たことでした。

Q. 屋外に置いても大丈夫ですか

屋外、とくに夜間に人目がなくなる場所は、現金が入っている前提だとリスクが上がります。自動販売機の被害が減った要因のひとつも、こうした無防備な屋外設置が見直されたことでした。どうしても屋外に置くのであれば、現金を扱わない構成にしておくのが現実的です。

ガチャの盗難対策は、現金を抜くこと

Capsule Hubでは、2つのやり方をご用意しています。

鍵を強くするより、中身を空にする。

自販機業界が25年かけて出した答えを、カプセルトイはまだ採っていません。設置台数が増えるほど、現金を置いたままにしておく理由はなくなっていきます。導入のご相談は、台数が1台でもお受けしています。

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